健康Q&A:汗かき

【Q】寒がりなのに、汗かきです。暑いとき、辛いものを食べたとき、運動したとき、
サウナに入ったときはもちろん、緊張したときなど、周りの人に比べてかく汗の量が
多くて、自分でもビックリ。病気の心配のある“汗”について教えてください。

【A】
 暑さや緊張,辛いものを食べたりしてかく汗なら,むしろ健康な証拠であって,心
配ありません。量の差こそあれ,誰もが汗をかくのは当たり前。私たちは汗をかくこ
とで体温を調節したり,緊張をほぐしたりしているのです。
 汗の最も重要な役割は,体温調節です。体温が上がると汗をかくことで,汗の水分
が蒸発するときに体の熱を奪ってくれるため,体温を一定に保てます。汗は,1日平
均1リットルといわれますが,真夏ともなると3リットルもかいています。つまり汗を
かくことは,人間には絶対必要な作業で,汗でいくら困っているとしても,汗をかか
ないと人間は死んでしまうのです。
 汗は,皮膚にある2種類の汗腺(エクリン汗腺とアポクリン汗腺)から出ます。エク
リン汗腺が体中に数百万個あるのに対し,アポクリン汗腺は脇の下や外陰部などといっ
た特定の箇所にあって臭いの原因となります。「暑い」と感じて出る汗(温熱性発汗),
「手に汗握る」と言うような汗(精神性発汗),辛いものや酸っぱいものを食べたとき
に出る汗(味覚性発汗)は,エクリン汗腺からです。
 一般的に太った人は,体脂肪が多い分暑さに敏感に反応するので,汗かきが多いよ
うですが,病気とは関係ありません。脂肪が断熱材の役割を果たし,運動によって生
まれる熱の発散がうまくできないため,その分汗をたくさんかくのです。
 問題なのは,気温や緊張,食べ物とは何ら関係なく,常に汗を大量にかく場合です。
いちばん考えられるのが,女性に多い甲状腺疾患であって,つばを飲み込むと動くの
どの部分がはれたり,声がかれる,動悸がする,体がふるえるなど,他の症状も現れ
るのが特徴です。こんな症状がなければ,心配しなくても大丈夫です。汗かきの人は,
気温の変化に応じて着脱できる衣類で外出し,汗を吸収しやすい綿のTシャツを着る
など,快適に過ごす工夫をしましょう。

                         (2001年8月 〆谷 直人)