【Q】突然のひどい下痢。食あたりかも!? 取り急ぎの対処法を教えて。 【A】 飲食が原因となって健康を害することを食中毒または食あたりと呼んでいます(食 中毒と食あたりは同義語)。また,外国旅行中の下痢を総称して「旅行者下痢症」と 言います。今回は,このような下痢の対処法について簡単にお話します。 下痢で一番こわいのは脱水症であり,便中に大量の水と同時にナトリウム,カリウ ムなどの電解質が急速に失われます。人体の60%は水分で,その内の4〜8%を失うと 意識障害が現れ,8%以上喪失すれば,生命に危険が及びます。軽い症状の下痢でも, 水分補給は欠かせません。下痢をしているときの飲み物は,温かい番茶やスープのほ か,スポーツドリンク(但し冷たいのは厳禁)のような電解質を多く含む飲料水をとる とよいでしょう。下痢の治療食には昔は,絶食→おもゆ→三分粥というコースが賞用 されました。特に絶食は腸管安静・回復を早める・害はないという考えでしたが,現 在では短期でも腸管粘膜をやせさせ,回復が大幅に遅れることが明らかになり,下痢 中にも食べなれた食事を続けるという積極論に変わっています。ゆえに,できるだけ 早く食事を再開しましょう。 食事は,おかゆやよく煮たうどんなど消化がよく,水 分の多いものをとるようにします。 下痢だからといってすぐに下痢止めや抗生物質を飲むよりは,まず水分を十分とる ことです。下痢は体内の毒素を外に排泄しようとする生理的な防衛反応の場合もある ため,下痢止めを使用して無理に下痢を抑えてしまうことには賛否がありますが,1 日に6回以上も下痢が起こると脱水・栄養低下・電解質の低下などが懸念されるため, 下痢止めで症状を落ちつかせることが大切です。そして,毛布などで下腹部を暖め, 安静にしていることです。しかし,下痢が治まらない時や便に血が混じったり,熱が 出てきた時は医師の診断を受けましょう。 (2000年8月 〆谷 直人) |